「いくんだぞ!マシュー!!」
「ちょっとアルフレッド!ちゃんと取れるように投げてよ!!」



キャッチボール



今僕は、アルフレッドの唐突な誘いに付き合って、川原でキャッチボールをしている。

アルフレッドの奴は、自分から誘って来たくせに早々に飽きて、僕が取れないような所にばかりボールを投げて来る。
時には凄く遠くへ、時にはすぐそこに、さっきは物凄いカーブだったし、今度はお腹にクリーンヒット・・・。
その度に彼は「DDDDD・・・」と笑うんだ。
笑うなよ、チクショウ・・・すっごく疲れるし、痛いんだぞ?

「全く!!ちゃんと取ってくれないとキャッチボールにならないじゃないか!」
「君がちゃんと投げてくれればいいんだろ!?」
「それは違うんだぞ!君の動きが遅いから、それに合わせようとすると手元が狂うんだ!」
「君がせっかち過ぎるだけだよ!」

ああ・・・また喧嘩になる。
アルフレッドとキャッチボールをすると毎回決まって喧嘩になる。
この間もそうだったし、その前にした時なんかは、殴り合いにもなった。
・・・まぁ、僕のパンチはのろ過ぎるから、全く殴り合いっぽくはならないけど・・・・・・・。
毎回喧嘩になるのは解ってるんだ、それでも僕は、アルフレッドの誘いを断った事は今まで一度も無い。

「いいから!とにかくボールを投げてくれよ、マシュー!」
「い、今投げようと思ってたとこだよ!!」

またアルフレッドが笑う、「本当に君はとろくさいな」とか何とか言いながら。

アルフレッドが僕にキャッチボールを誘う時、
それはいつだって、寂しい時とか、後ろめたい事がある時とか、アーサーさんと喧嘩をした時とか・・・
そういう時だ。

彼は素直じゃないから、そういった事を素直に相談してこない。
代わりに、何故かいつもキャッチボールに誘って来る。
そしてお人好しな僕は、毎回喧嘩をしながら、痛くて疲れるキャッチボールに付き合う。

「このやろ・・・!!」

小さく呟いて、僕はアルフレッドが投げた荒くれ球をスライディングキャッチした。

「何もそこまで本気にならないでもいいじゃないか・・・・・・」
「う・・・うるさいな!投げたのは自分のくせに、ドン引きしないでくれよ!!」
「じゃあ次はコッチだぞ!」

彼はまた、「DDDDD・・・」と笑いながらボールを投げる。
僕はまた、スライディングしてキャッチする。

「今のは取れないかと思ったぞ!」
「笑うなよ!取れなかったら怒るくせに!!」

彼が、キャッチボールに僕を誘う理由がそれなら・・・、
彼が、投げるボールに気持ちを込めているんだとしたら・・・。

「僕は君の投げるボールは、一つだって取りこぼしたくないんだよ!」
「Oh!!知らなかったんだぞ!まさか君がそんなに悔しがりだったとはね!!」

僕らは、憎まれ口を叩きながらも、キャッチボールをやめない。
キャッチボールは続いてく、どこまでも続いていく・・・・・・

僕の体が、キャッチボールできなくなるまで、ね(笑)。



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BUMP OF CHICKEN「キャッチボール」より。

この曲は以前から、「北米兄弟の曲だよなぁ・・・・・・」と思っていました
ただ単に、キャッチボール=北米兄弟のイメージがついちゃってるだけですが(笑)

実はちょっとだけ、キューさんとマシューの話にしようかとも迷ったんですが
そうしたら、キュー×カナの甘々になってただろうな・・・