シモンの告白
最近、シモンが変だ。
前は絶対に料理なんかしなかったのに、最近のシモンってば、
「○○の作り方教えてよ!」が口癖なんだもん。
一体何なの?
あたしの料理に不満があるとか?
いや、それは無いはず。
あたしの料理の腕は、あのジバルやクリストでさえ認めるほどだもん。
「美味しいのが逆にムカつくよな」
なんてお世辞を、アイツらが言う訳ないもん。
それに、嘘をつくのが下っ手くそなシモンが、
「美味しい美味しい」って、あんなに幸せそうな顔で嘘をつけるわけも無い。
……て言うことは、やっぱり…
「イェレナ〜♪ これすごく美味しいねぇ〜!」
ああ、またコイツは間の抜けた声であたしの思考を邪魔してくる!!
まったく…本当にもう……幸せそうな顔で食べるんだから……。
考えたく無いけど…やっぱり、ペルディッカスの時と似てる…。
……ペルディッカスが、この家を出てくって言った時と…。
「ねぇ、シモン……」
「ん? なぁに?」
「さっきの話の続きだけど、何でイキナリ料理なんか?」
「ぅえ゛!? あ〜〜…いや、そのっ だから…
好物くらい、自分で、作れて損はない…じゃん? だから……」
「今まで、何が何でも料理しなかった奴が?」
「うっ……」
「『男が料理なんて(笑)』って笑ってたの、どこの誰よ?」
「………」
さっきまでの食いっぷりはどうしたんだか、
食べ物を運ぶ手が、完全に止まっちゃってるよ。
「やっぱり、何か言い出しにくい理由があるのね。
アンタ何か最近変だよ? 一体どうしちゃったの?」
シモンはますますバツの悪そうな顔をする。
最近掛け始めたらしいメガネが、なんだかウザったく見えてきた。
「ねぇ、シモンも、ペルディッカスと同じ…?」
「!!」
ああ………本っっ当に嘘がつけない奴だなぁ…シモンは。
「……独立、するの?」
「………」
「ねぇ!! 何か答えてよ!!」
「…………正式な、発表は…また後日になると思う…」
「っ!! シモンのバカ!! すかたん!! すかぽんたん!!! もう知らない!!!!」
「えっ…すかぽっ!?」
「あんただけは………あんただけは、ずっとあたしといてくれるって、思ってたのに……」
「待っ……イェレナ!!」
いつの間にダイニングを出たのか、
気が付いたらあたしは、部屋で一人、声を押し殺して泣いていた。
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食いっぷりの良い男性は、イイですよね
バルカンキャラは男も女も食いっぷりが良いイメージ……
バルカン諸国はあまり国ごとに料理の特色って無いんだそうで
(まあ民族一緒だし同じ国だった時期とか長いし、当たり前っちゃ当たり前だけど)
イェレナは料理が趣味です、大得意です
ええもう、一時は7人分のご飯を毎日作っていたくらいですから
でもジバル(クロアチア)とクリスト(ブルガリア)は
イェレナの喧嘩友達なので、素直に「美味しい」とは言いません 笑
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